ズボンの外から、下着を掻き分けたヴァッシュの指が、ウルフウッドの内側を犯していた。
壁に突いた腕の間に顔を伏せるようにして、ウルフウッドは蠢く指の感触に耐えている。
服を着たままのセックスなんて、何度やったか憶えてもいない（特にヴァッシュとは、その比率が高い気がする）。だが、こんなふうに、きちんとズボンを穿いたままでベルトすら外さず、それなのに中を探られるのは初めての経験だ。
ヴァッシュとセックスをすると、初めての経験が増えてゆく。大概は、しなくてもいい！と叫びたいような経験が。
何が楽しいのか、ヴァッシュはしつこいくらい指での愛撫を続けていた。乾いていたところに突き立てられたというのに、丹念に解かれたそこは既に３本の指を飲み込み、くちくちと淫らな肉の音さえ響かせている。
ヴァッシュの左の義手は壁に縋るウルフウッドの体の前に回され、膝が砕けそうになるのをやんわりと支えるだけで、一切の愛撫をしてこない。
ズボンに覆われたままの前は、ただの一度も触れられることなく、窮屈な布地の間で勃起しきっている。
このままでは、直接の刺激がないままに達してしまいそうだった。
指で、後ろを犯されるだけで達してしまうなんて。
いつのまに、自分の体はこんなに浅ましくなっていたのかと思うと、泣きたくなった。
元凶の、未だに含ませた指を揺らし続けているヴァッシュを、呪ってやりたい。